セカンドパートナー
尊敬するほど並河君に憧れていると言っていたのを忘れたみたいに、羽留は並河君の存在を深く気にすることなく、私をジッと見て前のめりになった。
「詩織のこと探してたんだよ。授業始まる前に会えてよかった」
「…? どうしたの? 何かあった?」
「それはこっちのセリフ! 昨日大丈夫だった? 家の人やけに怒ってたよね? あたしが電話したせいじゃない? ホントごめんね……」
「大丈夫大丈夫! 羽留のせいじゃないから! ホントそれはない!」
明るく答えつつ、内心ハラハラした。やっぱり、羽留の耳に父の怒鳴り声は聞こえてしまっていたんだ……。
「本当?」
こんなに深刻な顔をする羽留を、初めて見た。そういえば、昔、塾の送り迎えに来た父に差し入れのコーヒーを渡す私を見て、美季も同じ顔をしてた……。
ウチのことを知らない羽留ですら、たったあれだけのことでこんなに心配するなんて、やっぱり父は「一般的な普通の父親像」からずいぶんかけ離れてるんだ。
「心配してくれてありがとう。昨日はお父さんとお母さん夜ご飯のことでケンカしてて、たまたま機嫌悪かっただけ。あの後すぐ仲直りしてたからホント大丈夫だよ」
「そっか、そうなんだ。それならよかった……」
どこにでもありそうな夫婦ゲンカの様子を想像で話す。そうしてようやく、羽留は安心したように息をついた。