セカンドパートナー

 並河君、嬉しそう。それもそうだよね。音楽科の羽留に好きな曲を弾いてもらえるんだから。

 羽留は全然そういうことを言わないけど、この学校の音楽科と美術科は高い才能と技術がないと入学できないと言われている。偏差値も普通科に比べて格段に高い。

 卒業生にも、プロのピアニストや画家になった人が何人かいる。在校生の有能さをこの地方で知らない人はいない。制服を着た時に見分けがつくよう、学科によって校章の色が違う。

 そんなことを気にせず羽留と仲良くできていたのは、それを感じさせないくらい彼女がフレンドリーだからだ。気が合うのはもちろんだし、なにより私は羽留のピアノのファンだった。

 でも、この時は、羽留を見る目が曇ってしまった。

 友達と友達が仲良くしているのを見るのは楽しいし嬉しい。三人でいる時間は、学校にいる中でもっとも好きな時間になりそうだと思った。それなのに、どうしてかモヤモヤした……。


 そんな気分を当日まで引きずってしまった。

 金曜日の放課後、羽留のピアノを聴くべく並河君は普通科の校舎まで迎えに来てくれたのに、私はあまり喜べなかった。

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