知らない貴方と、蜜月旅行
そして7時半を過ぎた頃、スーツを着た吏仁が寝室から出てきた。


「いつも出るのは、この時間なの…?」
「あぁ、だいたいな」
「そっか。じゃあ、帰宅時間は?」
「あー、そうだなぁ…。10時には、いつも帰ってるか」
「10時ね。うん、分かった」
「紫月は先に食べてろよ?」
「あ、うん。分かった」


他にも聞きたいことはたくさんあるけど、出勤前にアレコレ聞かないほうがいいよね。そう思い、お口にチャックをした。


「紫月」
「ん?」
「まだ合鍵作ってないから、俺の鍵持ってろ」
「…うん、ありがとう」


合鍵、か。これから一緒に暮らすんだし、今日作りに行こうかな?なんでも吏仁任せは、悪いしね。


「それと、とりあえず生活費。あー、今これしかないけど。足りんだろ?」
「ちょ、吏仁?!金銭感覚おかしいって!」


吏仁が私に渡してきたのは、まさかの諭吉さん三枚…。絶対おかしいって…。これで〝足りんだろ?〟って…。あまるわ!!


「そうか?まぁ、足りねぇよりいいだろ?なくなったら、その都度言えな」
「は、はい…」
「あー、それと。紫月と連絡先交換してなかったよな」
「あ、そうだっけ…?」


そっか。あれからずっと吏仁と一緒にいるから、連絡先交換してなかったんだ。吏仁は、近くにあった紙にスラスラ書くと紙を私に渡した。


「ブリーズ、って…?」
「なんだ、知らねぇの?」
「いや、知ってるけど…。なんで携帯番号とメールアドレスの他に、ブリーズの番号まで書いてるの…?」
「いや、俺の職場だし」
「えぇっ?!」


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