知らない貴方と、蜜月旅行
「お待たせ。今日、アールグレイ買ってきたんだぁ」
「あ、美味しいよね!私も好きだよ」


紅茶とケーキを用意して、一口食べると、甘い生クリームが私の心を満たしてくれるような気がした。


「あんね、久未…」
「うん」


紅茶を一口飲んでから、話を切り出した。久未は私の目を見て、真剣に頷いてくれた。


「多分、ツッコミどころ満載だと思うんだけど…」
「なに…?」
「……亮太とは、結婚してないんだ」
「は…?」


うん、こうなると思った。でも私が久未なら、きっと私も同じ反応してたと思う。


「ちょっと待って…。えぇと、あの時旅行から帰ったらって、私に言ったよね?」
「うん、言ったね」
「沖縄には行ってたってこと…?」
「うん、行ってたよ」
「誰、と…?」


久未はパニックになっていた。そりゃそうだ。亮太と結婚するって、幸せに語ってたんだから。


「蒼井さんって人。蒼井吏仁さん。そして……私の夫」
「え、夫…?ごめん、なに、全然分かんないっ」
「うん、だよね。ザックリ話すから聞いて?」
「……うん」


突然、知らない男の名前を出されて〝夫〟だと言われても、余計パニックになるだけだよね。


< 121 / 185 >

この作品をシェア

pagetop