知らない貴方と、蜜月旅行
「お姉さん、一人?」
「え?あ、あの…、私以外の人に声かけていただけます?」
「そんな、謙遜しちゃって!そんなお姉さんも可愛いけどね?」
「は?あの、私、主人と来てますので…」
「そうなの?」
「えぇ」


今、女どもに挟まれちゃってますけど!だからって、私知らない人には付いていきませんよ。こういうチャラい人、好きじゃないし。


「でも、近くにいないじゃない?断る口実なんでしょ?」
「いや、本当にいるんで」
「またまたぁ〜!」


あぁぁぁ、ウザい…。ダメだ、一人で部屋に戻ろうかな…。あ、鍵は吏仁が持ってるのか…。どうしよう…。


「ほら、行こう?」
「ちょっ、本当に無理ですってば…!」
「大丈夫、大丈夫だから!」
「は?なにが大丈夫なのよっ、ほんとっ、無理!もぉ、吏仁っ!」


グイグイ引っ張る男に、思わず吏仁の名前をちょっと大きめの声で叫んだ。すると──


「悪りぃ、遅くなった」
「バカ!なにやってたのよ!」


泳いできたのだろう、吏仁の髪が濡れていて、オールバックになってる姿に、ほんの少し色気を感じた。そんな吏仁は登場すると同時に、私の腰に手を回し自分の体に密着させた。


「あいつら、すげぇ力だったんだって!俺だってビビったわ」
「…言い訳なんかいらないっ」
「だから、悪かったって」


そう言うと後ろから、私の首筋に顔を埋めて、チュ、とキスをした。


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