知らない貴方と、蜜月旅行
戸惑う私をよそに、吏仁の手が私の手を包み込み、深い水の中へと引き込んでいく。吏仁の手は、とても優しくて暖かい。
水の中にいると、嫌なことも全部忘れられる気がした。そして、普段見せないような笑顔で私を見てくれる吏仁に、いつしか私も笑顔になっていた。
*
「女だったらエステしたいだろ?」
「その決め付けは、よくないと思う」
「じゃあ、いいか」
「ダメ!行くっ」
プールから上がり、エレベーターの中で、また私は吏仁からの、イジメにあっていた。
「服、引っ張んなよ。ヨレるだろ」
「吏仁がイジメるから悪いんだよっ」
「いつイジメたよ」
「今だよ、今!」
べつに夫婦になったから会話しなきゃ、とか演じてるつもりはない。吏仁が、ふっかけてくるから答えてるだけ。だけど、周りの目は違うみたいで…。
「楽しそうでいいねぇ〜」
「えっ?」
「えぇ、私たちの若い時を思い出すわねぇ」
エレベーターの中で話しかけてくれたのは、年配の夫婦。私たちのやり取りを見て、にこやかに笑っていた。
「あっ、騒いでしまってごめんなさいっ」
「いや、いいんだよ。新婚さんかい?」
「え、えーと…」
「昨日、籍入れたばかりです」
「おや、じゃあ本当の新婚さんだね」
お婆ちゃんの問いかけに本来なら〝昨日、籍入れたんです!〟と言わなきゃいけないのに、それがどうしても言えなくて…。そんな私の思いを感じ取ったのか、代わりに吏仁が答えてくれた。
水の中にいると、嫌なことも全部忘れられる気がした。そして、普段見せないような笑顔で私を見てくれる吏仁に、いつしか私も笑顔になっていた。
*
「女だったらエステしたいだろ?」
「その決め付けは、よくないと思う」
「じゃあ、いいか」
「ダメ!行くっ」
プールから上がり、エレベーターの中で、また私は吏仁からの、イジメにあっていた。
「服、引っ張んなよ。ヨレるだろ」
「吏仁がイジメるから悪いんだよっ」
「いつイジメたよ」
「今だよ、今!」
べつに夫婦になったから会話しなきゃ、とか演じてるつもりはない。吏仁が、ふっかけてくるから答えてるだけ。だけど、周りの目は違うみたいで…。
「楽しそうでいいねぇ〜」
「えっ?」
「えぇ、私たちの若い時を思い出すわねぇ」
エレベーターの中で話しかけてくれたのは、年配の夫婦。私たちのやり取りを見て、にこやかに笑っていた。
「あっ、騒いでしまってごめんなさいっ」
「いや、いいんだよ。新婚さんかい?」
「え、えーと…」
「昨日、籍入れたばかりです」
「おや、じゃあ本当の新婚さんだね」
お婆ちゃんの問いかけに本来なら〝昨日、籍入れたんです!〟と言わなきゃいけないのに、それがどうしても言えなくて…。そんな私の思いを感じ取ったのか、代わりに吏仁が答えてくれた。