強引同期と恋の駆け引き
「ふぅん。で、ホワイトデーのお返しはどうする? またお菓子でいい? それとも、今年はハンカチとか」
「なんでだよ。あとに残るものは勘弁」
「知らないの? ハンカチのプレゼントは『別れ』の意味もあるのよ。懐メロにもあったでしょう?」
知らねぇよ。たった三歳の差で、ジェネレーションギャップとか!?
「ホワイトデーに贈るお菓子にも意味があるんだからね」
「はっ?」
「一般的には、飴が『好き』、クッキーが『友だち』、マシュマロは『嫌い』とか『NO』っていわれてるかな」
「……面倒くせー」
だいたい義理チョコがNGの会社なんだから、返礼だって不要なはずだ。
以前、姉にそう主張したら、「いつまでもお返しがもらえないで、期待して待たれたらどうするつもり?」と諭された。
「マカロンはね、『あなたは特別』なんだって。あたしももらえるかなぁ」
テーブルに両肘をついて手のひらに頬を載せた顔は、小学生にして一丁前の『女』だ。
「でもママは、マカロンあんまり好きじゃないんだよね。どうせもらうなら貴金属がいいわ」
チョコの山を片付けながら現実的な希望を述べる。それは旦那に言ってくれ。
「……じゃあ、汁粉は?」
「えっ、お汁粉? う~ん、和菓子は聞いたことないかな。今年は和菓子にするの? 大福とか酒饅とか。でも日持ちしないしなぁ」
さっそくスマホでそれっぽい品を検索しようとする姉を、慌てて止める。