たった一つの隠し事
端正な長躯に加え、甘やかに整った顔立ち。
何気なく零される笑み一つで、大抵の女子はうっとりと彼に絆されてしまう。
営業成績は常にトップで、営業部の次期エースと囁かれている。
そんな彼に、私が密かに寄せている想いなんて、告げられるはずもなくて。
却ってつい意地を張って、いつも可愛げのない態度を取ってしまう。
今だって、条件反射で。
「私が困ってたって、雨宮くんには関係ない」
「またそんな事を言う。関係なくなんかねーよ」
「それは同期だから? 皆にモテモテで営業部の次期エースの雨宮様の気紛れなお慈悲ってこと?」
「何だよ、その言い方」
「とにかく私の事は放っておいて。雨宮くんに心配されるような事なんか何もない!」
「嘘吐け。今だって泣きそうな顔してるじゃねーか」
「泣かない! 泣いてない…!」
強情に首を横に振る私をふわりと包んだのは、雨宮くんの温もりだ。
まだ床に座り込んだままの私を、ぎゅっと抱きしめてくれる逞しい腕。