金曜日の恋奏曲(ラプソディ)
「……長谷川さんっ!」
後ろから、須藤くんの声がした。
でも振り向けない。
怖い。
私は加速した。
「…長谷川さんっ!待って!」
須藤くんの声が追ってくる。
……なんで?
……なんで追いかけてくるの?
頭が混乱していて何がなんだか分からない。
目が潤む。
左側の階段を、勢いよく駆け下りた。
顔が熱い。
恥ずかしい。
全部勘違いだった。
金曜日にだけ来てた理由?
…里見先生だった。
これならぴたりと、当てはまる。
私だって金曜日に来てたのは、須藤くんと、もう一つは里見先生だった。
なんで気が付かなかったんだろう。
須藤くんが、金曜日にだけ来てた理由。
なんで私だなんて思えたんだろう。
…自分中心で考えてるからだ。
恥ずかしい。
勘違いも甚だしい。
私だけ。
私だけ1人で舞い上がって。
最初から最後まで、全部私の独りよがりな期待の上だった。
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい
消えてなくなってしまいたい
…先週須藤くんが早く帰った金曜日は、里見先生が早く帰った日だったことに、今更気付いたって。