金曜日の恋奏曲(ラプソディ)
息が切れる。
肺が押しつぶされるように苦しい。
脳に酸素が回らなくて、目の前が霞む。
…でも、だったらなんで優しくしたの?
…期待させたの?
矛先は須藤くんに向く。
分かってる、なんて自己中心的な責任転換。
でも。
好きじゃないなら、優しくしないで。
期待させないでよ。
恥ずかしさは不満に変わる。
里美先生だって、本当に気付いてなかったの?
どんな気持ちで私の話を聞いていたの?
私の味方なんてフリをして、本当は2人で馬鹿にしていたんじゃないの?
あぁなんて醜い。
不満はやがて、恐怖に変わる。
私だけ。
私だけだったの。
何も知らなかったのは。
まるでピエロだ。
それでも、知りたくなかった。
ただ漫然とピエロでい続けた方が、どれだけ良かったか…。
上履きのゴムが、床に擦れて転びそうになった。
「……ッ!」
なんとかバランスを保って起き上がる。
ここで転ぶわけにはいかない。
私は1階まで駆け下りて、そのまま廊下を駆け抜けた。
梅田さんの凄さが身にしみる。
…自分が1番近いと自負していたのに、そこからまさかの更に親密そうな第三者が出てきたら。
…フラれるのが分かってて告白するのだけでもすごいのに、
好きな人のためだからって、その第三者を応援なんて、尚更。
正面から向き合うこと。
梅田さんはなんて強くて、カッコイイんだろう。
…それに引き換え私は、なんて心が狭い人間なんだろう。
嫌になる。
今だってこうやって、全速力で逃げてる。
「……お願い………だから…………待って!」
須藤くんの声がした。
振り返ると、まだ追いかけてきていた。
なんでそんなに必死に…!
須藤くんに追いつかれてはいけない。
現実を突きつけられたくない。
もう分かった。
なんで追いかけてくるの?
わざわざ言い切りに来るの?
目をぎゅっと瞑った。
もう遅いのに。
もう、バラバラなのに。