ヒーロー(ヤンデレ)が死亡しました

「ナカナイデー」

「ナカナイデー」

「ナカナイデー」

サクスくんの言葉を覚えたゲノゲさんにまで慰められてしまっては、いつまでも涙をこぼしていられない。

「ゲノゲさんも、ありがとう。助けを呼んできてくれたのですね」

「ああ、はい。なんか、オレにこっちに来てほしい的な感じだったんで。でも、なんか、あったんすか?」

無傷な私を見て首を傾げるサクスくんには、大丈夫だったと先のことを話す。

「盗賊!?うわ、ここら辺にも出るようになったんすか!」

「出るようにって。最近はそんな悪党が出没するようになったので?私、村の出だから情勢とかよく分からなくて」

「そうっすね。王都の騎士団だったりがいるもんだから、そういった悪党は捕まりやすいし、平和な日々が続いていたんすけど。なんか、最近は王都近辺から不穏な空気っつーか、些細っすけど犯罪率高くなっているみたいで。もっとも、重大な事件は起きてないみたいっすけど。いやー、でも、なんにもなくて良かったっすねー。あ、フィーさんは彼が憑いているから安心っすね」

ふと、彼の言い方に違和感を覚えた。

「ついて……?」

「そうっすよ。クラビスさんがばっちり憑いて、フィーさんに近づく男を誰かれ構わず絞め殺そうとするから、並大抵の奴じゃ敵いませんね」

「呪いじゃないので!?」

「同じようなものじゃないっすか?あ、でも、幽体でもやってることは結構物理系で、絞めるにも一人ずつじゃなきゃ出来ないみたいっすからね。ほぼ殺人行為っす」

呪いよりも物騒な話になった!

「殺人罪が成立しなくなったからって、いくらなんでも」

「『そもそも成立しようが、俺とフィーナを引き離そうとする奴らは塵芥に生まれ変わるべきだよね。そうして、フィーナに何かしようとする奴らは地獄に落とされたいと願っているわけだ』と満面の笑みで言ってるっす」

「そんなことを笑顔で言うあなたが、地獄に落ちなくて良かったぁ!」

サクスくんの通訳で、ますますここにいるのは彼なんだと実感出来る。

サクスくんにはいくらお礼をしても足りないぐらいだ。

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