あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
そう言われたのは胸の中の苦しさにどうしようもなくなった時だった。言わないといけないと思う気持ちと、言えない気持ちとが入り混じり、石垣の上から手を伸ばされ、私が手を伸ばすとグッと一気に身体が浮いたかと思うと、勢いが付きすぎて小林さんの胸に飛び込んでしまった。
「ごめんなさい」
パッと身体を離すと、小林さんがニッコリと笑っている。
「俺の膝の上に座るというのはどう?」
「遠慮します」
小林さんに促されて座ったのは大きな岩の上。私が座ると、小林さんもその横に座る。眼下に広がるのは太陽の光を浴びてキラキラ輝く海。白い波が遠目に見える。波の音を聞きながら、私は海に魅入られるように見つめていた。
始まりの海はあの時と多少の季節が違っても変わらない。海は大きく何もかもを飲み込んでしまいそうなほどに大きい。小林さんはお茶のペットボトルを私に差し出すと、自分はスポーツドリンクの蓋を開けて口を付け、一気に流し込んだ。小林さんの喉が気持ちよさそうに動くのを見ながら私は買ってもらったお茶の蓋を開けた。
「いただきます」
そう言って、口を付けると冷たいお茶がゆっくりと渇いた喉を潤していく。美味しいとか味も香りも全くしない。ただ冷たいものが流れていく感じがするだけ。太陽は真上にあり、ちょうどお昼くらいになっていた。車を降りて散歩しながら思っていたよりも時間が過ぎているのだと思う。
でも、中々切り出せない私は最後に小林さんの優しさと温もりを心に刻むことが出来た。それだけで十分でしょと自分に言い聞かせる。
「小林さんに話があります」
「ごめんなさい」
パッと身体を離すと、小林さんがニッコリと笑っている。
「俺の膝の上に座るというのはどう?」
「遠慮します」
小林さんに促されて座ったのは大きな岩の上。私が座ると、小林さんもその横に座る。眼下に広がるのは太陽の光を浴びてキラキラ輝く海。白い波が遠目に見える。波の音を聞きながら、私は海に魅入られるように見つめていた。
始まりの海はあの時と多少の季節が違っても変わらない。海は大きく何もかもを飲み込んでしまいそうなほどに大きい。小林さんはお茶のペットボトルを私に差し出すと、自分はスポーツドリンクの蓋を開けて口を付け、一気に流し込んだ。小林さんの喉が気持ちよさそうに動くのを見ながら私は買ってもらったお茶の蓋を開けた。
「いただきます」
そう言って、口を付けると冷たいお茶がゆっくりと渇いた喉を潤していく。美味しいとか味も香りも全くしない。ただ冷たいものが流れていく感じがするだけ。太陽は真上にあり、ちょうどお昼くらいになっていた。車を降りて散歩しながら思っていたよりも時間が過ぎているのだと思う。
でも、中々切り出せない私は最後に小林さんの優しさと温もりを心に刻むことが出来た。それだけで十分でしょと自分に言い聞かせる。
「小林さんに話があります」