あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 そんなこと分かっている。出会った時から優しくて思いやりがあって、私は心のどこかで小林さんが支えになっている。それは付き合う出す前からで多分きっとこれからもだろう。


「頼りますね」


「うん。その方が俺も嬉しい。ねえ、美羽ちゃんは休みの時何していることが多い?」


 仕事が休みの日は溜まっている家事に時間が掛かってしまう。洗濯は毎日するけど、アイロン掛けは土日にする。そして、それが終わると読書したり、研究書を読んだりとゆっくりとテレビを見ることはない。必死に家事をしてテレビなんかつけないから、こんな風にテレビを見るのは久しぶりだった。


「家事をして、本を読んで仕事したりとか…あんまり面白みのない休日です。小林さんは?」


「寝ているか。食べているか。友達と会っているか?あ…あのケーキ美味しそうだね。」


 そんな小林さんの言葉にテレビ画面に視線を移すと画面には丸いケーキ。大きなイチゴに周りには生クリームで綺麗にデコレートされている。それだけでなくケースの中にはチョコレートケーキもあるし、タルトもある。タルトにはイチゴがいっぱい乗っている。


 人気のある店の特集だけあって、春の新作ケーキは見ているだけでもつい顔が緩む。甘いものは結構好きなのに、私が大好きないちごがこれでもかと言うくらいに乗っている。


「美羽ちゃんの具合がよくなったら、あの店に行こう」


「ケーキ好きですか?」
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