あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
Tシャツにジーンズというラフな姿で立っているのを見ると、部屋で寛いでいたそのまま出てきたのかもしれない。足元には旅行に行くような大きさのバッグがある。
小林さんは私が走ってきたのに気付くと、フワッと微笑みを浮かべ、背中を壁から離して私の方を見つめた。月の光を背に受ける小林さんの顔がはっきりとは見えないのに、近づく度にはっきりと見えてくる。そして、私が小林さんの目の前に立って見上げると、フワッと柔らかい微笑みで疲れた私を包み込んでくれた。
「走ってきたの?」
「ちょっとだけ」
「ゆっくりでいいのに。仕事で疲れているのに」
「早く会いたくて」
私がそう言うと小林さんは少し困ったような表情を浮かべ、私の方に近づいた。そして、私の耳元に掠れるような甘い声を響かせた。
「その言葉は部屋に入ってからにして。ここで抱きしめたら困るでしょ」
スッと身体を引いた小林さんは足下にあったバッグを掴むと軽々と肩に背負い、私の手をキュッと掴みマンションの中に入っていくのだった。エントランスを抜け、エレベーターに乗り、私の部屋の前に着いた。私がバッグから鍵を出して玄関を開けると、先に私に入らせてから後ろ手でドアを閉める。不意に私の顔を覗きこんだ小林さんは悪戯をした後の子どものような表情を浮かべていた。
小林さんは私が走ってきたのに気付くと、フワッと微笑みを浮かべ、背中を壁から離して私の方を見つめた。月の光を背に受ける小林さんの顔がはっきりとは見えないのに、近づく度にはっきりと見えてくる。そして、私が小林さんの目の前に立って見上げると、フワッと柔らかい微笑みで疲れた私を包み込んでくれた。
「走ってきたの?」
「ちょっとだけ」
「ゆっくりでいいのに。仕事で疲れているのに」
「早く会いたくて」
私がそう言うと小林さんは少し困ったような表情を浮かべ、私の方に近づいた。そして、私の耳元に掠れるような甘い声を響かせた。
「その言葉は部屋に入ってからにして。ここで抱きしめたら困るでしょ」
スッと身体を引いた小林さんは足下にあったバッグを掴むと軽々と肩に背負い、私の手をキュッと掴みマンションの中に入っていくのだった。エントランスを抜け、エレベーターに乗り、私の部屋の前に着いた。私がバッグから鍵を出して玄関を開けると、先に私に入らせてから後ろ手でドアを閉める。不意に私の顔を覗きこんだ小林さんは悪戯をした後の子どものような表情を浮かべていた。