あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「将来。子どもが出来たら、男の子でも女の子でも一緒にキャッチボールをするのが今の俺の夢」


「素敵な夢ですね」


 小林さんならきっといいパパになると思う。


「美羽ちゃんに叶えて欲しいな。俺の夢」



 そこに自分が登場するとは思いもしなかった。婚約したことがスルッと抜けていて、小林さんの話も現実味がない。


「別に今ってわけじゃないから、そんなに深刻に考えないで」


 結婚して子どもを産んで…。そんな当たり前のような幸せが私の元にも訪れるのだろうか?小林さんの夢を叶えることが出来るのが私だったらいいと思う。他の人に渡したくないと思う気持ちがある。でも、今からフランス留学する私がそんなことは言えない。


「子どもは好きです」


 私がそういうと、小林さんはニッコリと笑う。


 私の気持ちは伝わっているのかいないのか分からないけど、今はこれでいいと思う。先のことは分からない。約束が重荷になっても困るし…。今の私にはこの指に光る指輪と、この先も一緒に居たいと思ってくれる小林さんの言葉だけで十分だった。


「さ、ご飯にしよ」

「はい」


 小林さんの買ってきてくれた弁当をテーブルに並べ、二人で顔を見合わせると、自然に顔が緩む。買ってきてくれた弁当はどこでもあるものだったけど、小林さんと一緒にいるだけで美味しそうに見える。でも、少しご飯の量が多いかもしれない。

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