あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
『もしかしたら私を早く帰すためなのかもしれない』


 そう考えるとピタッと自分の疑問にパーツが嵌る気がした。今の時間なら中垣先輩の心遣いのお蔭で私はスーパーによって帰ることが出来る。スーパーで買い物が出来るということは小林さんの為に料理をすることも出来る。そう考えると中垣先輩が朝から必死に頑張り仕事をしていたのもしっくりと収まる。


 きっとこれは分かりにくいけど、中垣先輩の優しさ。


「ありがとうございます」


 私は中垣先輩の好意を有難く受けることにして駅前のスーパーに向かうことにした。今日は小林さんのために食事の用意をすることは出来ないけど、明日の朝、少しでも美味しい朝ご飯を用意してあげたいと思う気持ちがある。


 仕事帰りの人がたくさんいるスーパーの店内を私はゆっくりと歩く。小林さんは何が食べたいのだろう?何が好き?何を作れば喜ばれる?買い物カゴを抱えて店内を歩いて、色々カゴに入れていく。新婚生活の予行練習をしている気分だった。


 今日の夜は簡単に済ますけど、明日の朝ご飯は定番の和食。ご飯に味噌汁にお魚を焼いて、お浸しもいいかも。



 献立を考えるのが楽しい。小林さんのことを考えるのが楽しい。自分の食事は簡単にお惣菜で済ませるのに、やっぱり好きな人の食事は作ってあげたいと思う。

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