あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 自分のついでに一緒に洗濯をしただけだけど、何となく幸せな気持ちになったのも本当だった。料理とも掃除とも違う洗濯は少しだけ結婚というものの予行練習にように感じる。勝手にしたから小林さんに嫌な思いをさせてなかったということもホッとはした。


「洗濯は私のを洗うのと一緒のついでです。でも、明日はマンションに帰るのですが?」


「うん。そのつもり。明日は自分の部屋に帰るけど、明後日は美羽ちゃんの部屋に帰ってくる」


 小林さんに会えないのが一日だと知ってホッとする。一緒に居る時間が長くなればなるほど私は貪欲になる。明日も明後日もその先も一緒に居たいと思う。


「俺も自分の部屋を片付けないと美羽ちゃんが住めないだろ」


「本気だったのですか?」


「勿論。冗談だと思ったの?」


「そうではないですが、まだ夢のようで」


 恋が始まってからのスピードが速すぎて何となく現実味を感じない時もある。恋人になって、婚約して、今度は同居するとなると、私の中のただでさえ少ないキャパは溢れそう。


「夢じゃないからね。フランスに行っても俺のことを忘れないように美羽ちゃんの心の奥底に俺を刻まないとね」


小林さんの私を身体を抱き寄せる腕の力がキュッと少しだけ強くなる。私が見上げると優しい眼差しが私に降り注いでいた。綺麗な澄んだ瞳には少しだけ不安そうな私が映っている。嬉しいのに幸せなのに不安という。自分でも自分が分からない状況に今の私はある。


「絶対に忘れないです」
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