あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 小林さんと付き合いだしてからの私は本当に変わったと思う。自分の意見を素直に口にすることが前に比べると出来るようになっていた。送信ボタンに触れると、大きく息を吐く。小林さんにメールするだけでこんなにドキドキする私がいる。


 婚約して結婚するのに私は恋をしている…それも止まらないくらいに。私は小林さんに出会う前の自分よりも今の私が好きだと思う。自分を好きになることが出来たのは小林さんが私を大事にしてくれるから、つまらないどこにでもいるような研究員だった私を小林さんは一人の女の子として愛してくれた。


 その思いが私の中で少しの支えとなり自信となってくる。


「小林さんに会いたい」


 零れる心からの言葉が真っ暗になった駅までの道に溶けていく。歩く歩調がいつもよりも速かったのは心がそうさせるからだと思う。心が浮き上がるような感覚がする。


 今日は会えないのに会いたくなる。


 いつもの帰り道。駅まではスムーズに着いて、終電に乗ることも出来た。終電の中は仕事帰りの人も多いけど、それ以上に一杯飲んで来たようなサラリーマンで溢れていた。少しムッとするような匂いが鼻を掠める。


 ストレスの多い社会に住んでいるので、息抜きが必要なのだろうけど、たまに息抜きが行き過ぎた人も居た。

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