あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 小林さんは私の部屋のリビングに入るとスーツのジャケットを脱いで、ソファに座った。そして、ニッコリと笑う。私はその綺麗な微笑みにドキドキしながらおにぎりを握っていた。梅干しは綺麗に潰して鰹節も混ぜたので梅干しだけよりは美味しいだろう。そんなことを思いながら、出来上がったおにぎりに海苔を巻いていた。


「美羽ちゃん」

「はい」


「美羽ちゃんがフランス留学に行く前の三日だけど有休を取った。俺と一緒に居てくれる?」


 小林さんが有休を取ってくれて、私との時間を大切にしようとしてくれていた。その思いがとっても嬉しい。小林さんの仕事は忙しく毎日残業が続いているのに…。それでも私との時間を大切にしてくれようとしている。


「お願いします」


 私がそういうと小林さんはにこっと笑って、キッチンにくると、おにぎりを握っている私を後ろから抱き寄せた。


「楽しみだよ」


「私もです。でも、本当に大丈夫ですか?」


「高見主任も三日の有休くらいは大目に見て貰えるよ。それにそんなことに文句を言わせないくらいに俺が頑張ればいいことだろ。美羽ちゃんは心配せずに研究所での仕事に頑張って欲しいよ」


 キッチンにいる私の手からおにぎりを取った小林さんは子どもみたいな笑顔を私に向け、おにぎりを食べながらそんなことをいう。


「あ、おにぎり」


「つまみ食いが一番美味しいって知ってる?」


 おにぎり一個をつまみ食いというか分からないけど、小林さんのために作ったのだからと私もつい笑ってしまった。


 



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