あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「美羽ちゃん。もう寝た?」


 シャワーを浴び終わったのか、寝室のドアが開き、小林さんが呟きのような声を出しながらベッドに端に近寄ってきている。私はというと…ベッドの上で何回も寝返りを打っているうちに小林さんはシャワーを浴びてから寝室に戻ってきたのだった。


 どうしようかと思ったけど、寝たふりをすることにした。

 今、何か言ったら…自分が止まらなくなりそうだった。


 何も反応しない私に小林さんはベッドの端に座ると私の身体を布団の上からそっとポンポンと撫で、それからゆっくりと布団の上から抱き寄せたのだった。そして、一瞬の間があってから、スッと小林さんは立ち上がるとリビングの方に歩き出した。


 ベッドの中に入ってくると思っていたのに小林さんはリビングの方に行き、ソファに横になると、リビングの電気を消したのだった。いつもは一緒にベッドに寝ているのに、今日に限って何でリビングのソファに寝るのだろう?


 私はゆっくりと身体を起こすと、フッと息を吐いた。


 なんで?という言葉がクエスチョンマークと共に私の中に溢れてくる。今日からずっと一緒に居られるのに、昨日までは一緒に寝ていたのに、今日に限ってなんで離れるのだろう?さっきは抱き寄せてくれたのに何で???


 私はしばらくベッドの上に座ったまま、時計を見つめるしか出来なかった。静かな寝室に時計の針が動く音だけが微かに響く。


「なんで一緒に寝てくれないの?」


 
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