あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「美羽のアパルトマンの部屋は私の隣の部屋なのよ。研究所の席も隣なの。二年間仲良くしてね。美羽と一緒に研究出来るのを楽しみにしていたの。翔がね、美羽はとっても仕事の出来る子だから期待していいっていうから、ものすごく期待しているの」


 窓の外を見ていた私が、フッと息を吐き、前を向くと、横から綺麗な声が聞こえた。横を向くと、キャルさんは穏やかな顔で微笑んでいて、私もその笑顔に誘われるように微笑みを浮かべれたと思う。研究をするために日本からフランスに来たのだけど、折戸さんの過大評価が気になって仕方ない。私はごく普通の研究員で、キャルさんの期待に沿えるとは思えない…。折戸さんはなんて言ったのだろうか?


「こちらこそよろしくお願いします。でも、折戸さんの言うほど私は優秀ではない普通の研究員です。ですのであまり期待をされても…」


「そう?美羽がそう言うならそれでもいいけど、私が知る翔がこと仕事に関しては曖昧なことを言うとは思えないんだけど」


「過大評価です。それにしてもキャルさんはなんでそんなに日本語が上手なんですか?」

 
 キャルさんの流れるような日本語はまるで本当に日本人が話しているかのようにさえ聞こえる。難しい言葉をサラリと使うし、言葉の語尾などの細かなイントネーションとかも完璧だった。どんなに勉強してもどことなくどことなくイントネーションが可笑しかったりするのに、キャルさんはそんなのが全くない。


「高校まで日本に居たのよ。父の仕事の関係でずっと日本に居たけど、大学でこっちに来たの。だから、フランス語も話せるけど、日本語の方が得意なの」
< 268 / 498 >

この作品をシェア

pagetop