あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 薄れゆく意識を呼び戻すのは私の手にある携帯の震える音。画面にはさっきまで会いたくて仕方なかった小林さんの名前が映っている。私の気持ちを察したかのようなタイミングでメールが届いたのだった。


『美羽ちゃん。おはよう。と言っても、パリでは真夜中だから、今は寝てるかな?
 無事にフランスに着いて本当によかった。
 フランスでは言葉も違うし、仕事の内容も違うと思うから、きっと大変だと思う。
 でも、美羽ちゃんなら、きっと、頑張れると思っているよ。

 俺も今から仕事に行ってくる。パリで頑張る美羽ちゃんに負けないように頑張るからね。そういえば、携帯のアプリで、いつでもパリの時間が分かるように設定したよ。美羽ちゃんの時間と俺の時間は確かに時差があるけど、それでも、連絡が出来ないことはないと思う。

 時間を見つけて俺からも電話するから。美羽ちゃんも暇なときはメールして。美羽ちゃんの声が聴きたいよ。離れてたった一日?なのに、先に俺が寂しがってどうするよって感じだね。

 じゃあ。仕事がんばってくる』


 小林さんのメールを読み終わると、すぐに私もメールを打った。小林さんのように長文のメールを携帯で打つのは苦手だけど、短い文章なら打つことが出来る。


『おはようございます。お仕事頑張ってくださいね。私も小林さんと同じように日本の時間をすぐに分かるようにしておきます。メールもします。電話もしたいです』


 そうメールをすると、すぐに携帯が震えた。今度はメールではなくて電話だった。海外にいても使える携帯だけど、まさかこんなにすぐに電話が掛かってくるとは思わなかった。急いで画面に指をなぞらせると、小林さんの声が私の耳元に届いた。


『美羽ちゃん』


 私の名前を呼ぶ声に私は…。唇を噛んだ。
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