あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 小林さんは確かにそんな風に私を思ってくれると思うけど、このタイミングで折戸さんの口から小林さんの名前が出るとは思いもしなかった。折戸さんの言葉の続きを聞きながら私は自分がどんなに大事にされていたのかを改めて知ることとなった。


 思いが深まるばかりで…。好きな気持ちが止まらなくなる。


「蒼空は美羽ちゃんのことを本気で思っているよ。これはオフレコだけど。昨日から俺の携帯には美羽ちゃんを心配するメールがひっきりなしだよ。俺がついているから大丈夫って何度言っても心配みたいで、今日の店は蒼空のリクエストなんだ。研究室に入り浸りになる可能性の高い美羽ちゃんが少しでも栄養が取れて一人でも入れる店を紹介するように」


 そこまでいうと折戸さんはニッコリと穏やかな微笑みを浮かべる。その視線の優しさはさっき見た綺麗な月の光のように涼やかで真摯だった。


「ここまで愛されたら、美羽ちゃんはいい仕事をしないといけないね。この二年の間に絶対に蒼空はいい男になる。俺としては蒼空の成長が楽しみ。美羽ちゃんも蒼空に見合う女にならないとね」


 折戸さんの言うとおりだと思った。


 私もこの二年間で小林さんの傍にいて見合うだけの女にならないといけない。こんなにも自分が成長したいと思うのは小林さんが素敵だからだと思う。恋も仕事も妥協なんかしたくない。離れるのを選んだ私が妥協なんかしてはいけない。


 そう思う。


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