あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 折戸さんに答えながら、そして、心の中では小林さんにも誓うように…。


「頑張ります」


 その言葉だけが私の決意。研究もだけど、このフランスの研究所で自分なりの満足の得る成果を上げたいと思う。言葉も生活も違うこの場所で自分に何が出来るのかを私も知りたい。言葉を飾らなくても折戸さんには届くと思う。私の心の奥底までも見透かしてしまうくらいに、私のことを見守ってくれる人だから。


 折戸さんは私の顔を見ながら、満足そうに微笑んだ。


「その笑顔を見れて良かった。さてと、お兄さんはそろそろ自分の部屋に戻って心配している弟にメールでもしようかな。さっきから、あまりにも面倒だから電源切っているし、美羽ちゃんを送ったら、今度は蒼空の相手だよ」


 ポケットから部屋の鍵を取り出すとクルクル回す姿はとっても楽しそう。それにしてもいつの間に携帯の電源を切ったのだろう。折戸さんの携帯にはどのくらい小林さんからメールが来ているのだろう?


「なんて書くんですか?」


「そうだね。美羽ちゃんの成長に負けるなと煽っておくよ」


「私のこと煽ってます?」


「そんなつもりはないけど、まあ、美羽ちゃんも、蒼空の成長に負けないように頑張って欲しい。それは思っている。研究員としての美羽ちゃんの成果に期待もしている」


「成果ですか?」


「そう、成果」


「プレッシャー掛けますね」


「あの、中垣の下で研究していた美羽ちゃんなら、このくらいはプレッシャーでも何でもないだろ。じゃ、おやすみ。戸締りはキチンと。そして何かあったら、すぐに俺に電話」


「はい。今日は本当にありがとうございました」

「俺も楽しかった」


 そういうと、折戸さんはニッコリと笑うと自分の住むアパルトマンに戻って行ったのだった。


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