あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「なんか凄い建物ですね」


「あ、ここは元々は古い学生が住んでいたアパートのようなものだったのよ。そこで、若い学生が研究をしていたのがフランス研究所の始まりなの。学生の研究なんか資金が足りないでしょ。

 だから、今の会社が自分の会社の研究機関として買い取って、そのまま、学生を研究員といて雇い入れたの。だから、色々な研究がここでは行われているの。新製品の開発もしているけど、研究員というのは身勝手なもので、自分の好きな研究しかしないのよ」


 日本の会社があって、その派生で日本の研究所と同じように新製品の研究をするためにフランスの研究所が出来たと思っていた。でも、研究員がいて、その研究を助けるということで会社がバックアップしているだけだなんて知らなかった。


「知らなかったです」


「私も知らなかったの。美羽が来るということで初めて日本の研究所の仕組みを知ったの。日本は窮屈な感じよね。でも、美羽。ここでは新製品の研究もするけど、自分がしたいと思うことをしていいのよ。私達研究員は興味を持つこと、自分の中での疑問を持つということが大事でしょ。普段の研究から離れて、交換留学生としてここに来たのだから、今の美羽がしたいと思うことをしてみるのもいいと思う」


 今まで与えられた仕事だけをしてきた私が、自分で仕事を見つけるということは出来るのだろうか?主任研究員でもない私は結局は補佐の立場でしかなかった。自分で興味の持ったことを研究することも、自分の中で何かを探すこともしたことがなかった。
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