あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 でも、私がそう思うことで折戸さんの未来を遮ってはいけないとも思う。フランス支社でも十分な活躍をしていると思うけど、本社営業一課に戻った時の折戸さんを考えると、そこが適所だと私も思う。


「折戸さんには優しくしてもらいました。仕事なら仕方ないです。でも、寂しくなります」


「坂上さんには正直悪いと思っている。交換留学とはいえ、蒼空と離した上に、今度は折戸とも離すんだからな。フランスの異国の地で知り合いが居なくなるというのがどれだけ不安かは分かっている。でも、これに公私混同は出来ない。頭のいい坂上さんならわかると思う」


 高見主任の言うことは尤もなことだった。そして、折戸さんが日本に帰るのはそんなに先の話ではないと思った。


「教えて下さってありがとうございます」


「本当に悪いと思っている。後、一年もフランスの留学が残っているのに、一人にするのは申し訳ない」

「大丈夫です。フランスの研究所にも慣れました。一人で大丈夫です。それに、一緒に研究している人は以前に日本で生活してあったので、気も合うし、大丈夫です」


 不安があるのに『大丈夫』と自分に言い聞かせているような気がする。まだ、折戸さんがフランスから帰国するなんて実感が湧かないけど、高見主任がプライベートの時間を使ってまで来るということは決定。折戸さんが首を縦に振らないといけなくなるのは時間の問題だと思われた。

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