あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「そんな顔をしないでいい。坂上さんが一緒でいいと思っているから誘っているんだよ。久しぶりに三人で食事もいいだろう。フランスに来るのは久しぶりだから美味しいワインも料理も楽しみたい。店は折戸が予約してくれる」

「楽しみにしています」


 高見主任が少しホッとした表情をするのはさっき折戸さんの転勤の話をしたからかもしれない。私が動揺するのを少しでも和らげるため、折戸さんが自分の転勤の話を私にしやすくするために、高見主任は来たのだろう。


「ありがとうございます。では、仕事に戻ります。仕事が終わったら折戸さんに連絡する形でいいですか?」


「ああ。それでいい。夕方まで私はフランスの観光でもしてみるよ。一応、ガイドブックもあるしね」


 そう言って高見主任が笑うから、私もゆっくりと笑うことが出来たのだった。


 応接室を出て、自分の研究室に戻ると、キャルがすぐさま私の机の方にやってきた。高見主任と何の話をしてきたのかが気になるようだった。会社の辞令に関することは簡単に口にすることは出来ないので、私は差し障りのないことだけをキャルに話した。


「ロンドンで仕事があって、次いでに昔の部下の様子を見に来てくれたの。で、そのまたついでに、今の研究の成果のレポートを読んでいたみたい。一応、プライベートな旅行だから、今から観光にも行くって」


「で、愛の告白とかは?」


「え?」


「だって、こんなフランスまで普通来る?」


「キャルの頭の中どうなってるの?折戸さんにも会いに行っているわ」


「じゃ、高見主任の本命は翔?」
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