あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 どこがどうなったら『高見主任の本命が折戸さん』になるのだろう。この頃、パソコンと研究結果とのにらみ合いが続いていたから、こんなバカげたことを言いだすのかもしれないけど、それにしてもどういう思考回路をしていたら、高見主任と折戸さんが恋愛状態になるのだろう。


「実は翔が美羽が好きだというのは、単なる目晦ましで実は本命は高見主任。フランスは恋には柔軟性があるので二人の恋は実るかもよ」


「折戸さんにとって私は単なる昔の同僚で、今は隣人。高見主任は尊敬する上司だと思う」


「本当にそれだけ?さっきチラッと見たけど、高見主任って本当に端正という顔立ち。翔も悪くないけど、私の好みは高見主任の方かな。あのキリリとした涼しげな眼差しが堪らない。それに、仕事に対するストイックさも群を抜いているから、いうことない」


 キャルの話を聞きながら、客観的に見て、高見主任と折戸さんは端正な顔立ちだし、スタイルも抜群にいい。でも、それよりも仕事の出来がもっといいとは思うけど…。


「素敵な人だとは思うし、尊敬もする。でも、それだけよ。さ、残っている仕事しよ」


 そうキャルに言いながら自分の席に座るとパソコンのキーボードに指を乗せる。少し打ち出して、止まり、また打ち出して止まる。そして、その合間に思うのは折戸さんの日本に帰国のことだった。高見主任が心配するだけあって、動揺している。


 本社営業一課に行く前の私なら絶対にこんなに動揺しなかっただろう…。そんなことを思いながら仕事を続けたのだった。
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