あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 テーブルの上の料理が消えるのには時間は掛からなかった。私の分を最初に取り分けてくれているけど、私はそれを食べるので精一杯なのに、残りは全て小林さんのお腹の中に入っていく。筋肉の消費カロリーは凄いとしか言いようがない。


 不意に昨日の夜の艶めかしい小林さんを思い出して、顔が赤くなるのを感じた。小林さんの身体には綺麗な筋肉がついていて触れるととっても固い。でもしなやかで滑らかな動きをする。


「大丈夫?ワインに酔ったかな?」


 昨日の夜の甘さ全開の小林さんを思い出して赤面する私を酔ったのかと勘違いしてくれたみたいだった。小林さんの飲むのを横で少し貰ったくらいなので、最初は身体がほわーっとしたけど、後はずっと炭酸入りの水を飲んでいる。それでも酔いは醒めない


「大丈夫です。ちょっと酔ってしまいました」


 嘘じゃない。ワインじゃなくて小林さんに酔ってしまっている。


「じゃあ、ほとんど食べ終わったし、外に行こうか。少し夜風に当たると酔いも醒めるかもしれないね」


 ワインに酔っているわけじゃないから酔いは醒めない。ずっと身体の奥に籠る好きという気持ちがずっと疼くだけ。


 店の外はもう真っ暗になっていた。頬を撫でる風が気持ちいいと感じるのは色々な意味で火照っているから。横を歩きながら小林さんはグッと伸びをすると柔らかい風が小林さんの髪を揺らした。


「あー、美味しかったし楽しい」


「楽しかったです。それに美味しかった。こんなに近くなのに店があることさえ知らなかった」



「お腹いっぱいだよ。ちょっと食べ過ぎ」


 驚くほどの量を小林さんはお腹の中に納めている。でも、活動的なのでエネルギーは一気に消費しそう。
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