あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
『でもね、美羽ちゃん。今、フランスには折戸さんもいないし、キャルさんも居ないよね。だから絶対に一人で無理はしないこと。それと、何かに迷ったり、困ったことがある時は全部俺に相談して欲しい。すぐに会いに行くことは出来ないかもしれないけど、それでも美羽ちゃんの気持ちに寄り添いたい』


 小さな子供に窘めるような優しい言葉に頷くと、また優しい声が聞こえた。


『きちんと返事して。俺を安心させて』


『はい。困ったことが出来たら絶対に相談します』


『今度、少し長めの休みを取って美羽ちゃんに会いに行くよ。それまで美羽ちゃんは仕事に頑張ること。勿論俺も頑張る』


『はい。私も頑張ります』


『今度会った時に美羽ちゃんが惚れ直すようないい男になるから。期待しておいて』


『これ以上はいいです。これ以上素敵になると色々な意味で心配します。だから、今のままでいいです』



『美羽ちゃんからそんな言葉が聞けるとは嬉しい』




 電話を切って自分のベッドに横になると、フッと息が漏れた。それと同時に肩の力が抜けたような気がする。小林さんと電話したことによって自分の中のモヤモヤが少しだけ消えたような気がした。でも、まだ始まってもないことなので気持ちを引き締めていかないといけない。


 お互いに頑張っていけたらと思った。



 私の一年間の留学延長が決まったのはそれから一週間後だった。
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