あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 ホテルに泊まるにしても小林さんに連絡はしないといけない。忙しさの余りに電話も出来ずに簡単なメールだけで帰ってきた私だ。携帯の電源を入れたら小林さんの返事は入っていると思う。携帯を開き、小林さんの名前を開き…時間を見て、携帯を閉じてしまった。


 小林さんは仕事をしている時間で、こんな時間に電話どころかメールをしてしまうと迷惑になるだろう。とりあえず静岡に向かうのが先決だった。静岡に帰るくらいには終業時間になっているだろうから、その時間に合わせてから連絡しようと思い、携帯をバッグに戻した時だった。


「美羽」


 不意に自分の名前を呼ばれて振り向くと、そこにはスーツを着て、マラソンでもしたかのように息を切らせている小林さんの姿があった。今から帰国しますとはメールをしたけど、どの便で帰国するのかは連絡してなかった。


 小林さんは目の前に立ち、私を見つめていて瞳には少しの不機嫌さを漂わせている。少し怒っているようにさえ見える。


「どうして、仕事はどうしたのですか?大事な仕事を控えていると言っていたのに」


「婚約者がフランスから帰国するのに迎えに来ないなんてないでしょ。仕事も大事だよ。でも、今の俺にとっては美羽ちゃんが大事。美羽ちゃんはしっかりしているのは分かっているけど、たまには俺の気持ちも考えて。俺が帰国した美羽ちゃんに一番に会いたいの分かっているでしょ」


 久しぶりにあった小林さんはフランスで会ったよりたった数か月だけど素敵になっている。会いたくて堪らなかった小林さんが今、目の前にいた。 

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