あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「コンビニ弁当を私の部屋で食べませんか?あの、お味噌汁くらいならすぐに出来ます。あの、コーヒーも淹れます。えっと、あと……」


 掴んでいる手が少し震えている気がする。顔も熱いし、心臓のドキドキは最高潮に音を立てている。恥ずかしさに視線をアスファルトに落とすと頭をポンポンと撫でられた。スッと視線を上げるとフワッと笑う小林さんの顔があってまた一際大きく音を立てた。


「嬉しいよ。とっても。でも、俺、美羽ちゃんのマンションの部屋に行くとそれだけで終われなくなると思うんだ。部屋で一緒に居たら、美羽ちゃんが好きだからキスもしたいし、触れたいと思うだろうし抱きたいとも思う。でも、俺は美羽ちゃんを大事にしたいと思っているから今日は外で食べよう」


 キスという言葉。
 抱きたいと思うという言葉。


 そのどれもが恥ずかしいと思うのに嬉しいと思う。小林さんは真っ直ぐで言葉にも気持ちが映っているように見える。でも、それは私も一緒だった。傍に居たいと思う気持ちは変わらない。


「一緒にコンビニ弁当を食べたいです」


「美羽ちゃんはいいの?」



 小林さんは少し低く掠れた声を出した。その声に緊張しながらも私は頷く。もっと深く愛されたいと思う気持ちが私にもある。


「じゃあ、俺がコンビニに行ってくる。その間に気持ちが変わったら、俺の携帯にワン切りして。それで今日は帰るよ。俺はその方がいいと思うくらいだからね」

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