専務と心中!
ぷぷっと笑ってしまう。
「なに?それ。プロポーズ?……いいよー。私も、薫といると楽ちんやし。」
そう言ってから、2人で顔を見合わせた。
どちらからともなく、自然に笑えた。
そうして、再び抱き合う。
幾度となく繰り返してきた戯れ言だ。
2人とも、真に受けない。
でも、そうなってもいいと思う。
そんなあやふやな、ぬるま湯の関係。
でも、この夜、珍しく薫がこんな風に言った。
「俺は別に誰でもいいけど、におは、ちゃんと相手を選んで見極めたほうがいいで。……今の彼氏とじゃ、にお、幸せになれへんと思うわ。」
……怒りも反発も感じなかった。
「うん。そうかもしれない。」
珍しくしおらしい私に、薫は驚いたようだ。
「何かあったん?」
そう聞かれて、私は薫の胸に頬ずりした。
「うまく言えない。言葉にすると、何か、違和感。……でも、違う気がする。」
やっと紡ぎ出した言葉に、自分で愕然とした。
何の不満もないつもりだった。
同じ会社の先輩で、社長達役員の覚えもめでたい秘書課主任。
舞台映えする柔和なイケメン、温和で上品なお人柄、おっとりした田舎のええとこのお坊ちゃま。
……条件のいい優良物件。
本当にそれだけなのかもしれない。
総務部の朝礼で顔を合わす度に何となく惹かれ合った。
忘年会で言葉を交わし、お互いにちょうど恋人がいない時期だったことがわかった。
……クリスマス、年越しを一緒に過ごして、付き合い始めて2年と2ヶ月。
そろそろ潮時なのかもしれない。
椎木尾さんと前向きに別れるのか、ちゃんと向き合って結婚するのか。
……てか。
別れるほうを「前向き」と捉えてる時点で、お察し、よね。
「におは、ワガママなようで、流されるやろ。だから割とどんな男とでもうまく付き合ってくんやろけど……全然幸せそうじゃないし、心配。もっとワガママになっていいんちゃうか?」
薫にそう言われて、私の瞳からほろりと涙がこぼれ落ちた。
「そんなこと言ってくれるの、薫だけやわ。……むしろワガママやと思う。椎木尾さんの趣味にも全く興味持てへんし。ほんまに好きやったら相手の趣味も理解して一緒に楽しもうと努力すべきじゃない?」
一昨日椎木尾さんに言われた言葉が脳裏から離れない。
私が歩み寄らない限り、いつまでも椎木尾さんの休日を独占することはできない。
それはそのまま2人の心の距離かもしれない……。
「なに?それ。プロポーズ?……いいよー。私も、薫といると楽ちんやし。」
そう言ってから、2人で顔を見合わせた。
どちらからともなく、自然に笑えた。
そうして、再び抱き合う。
幾度となく繰り返してきた戯れ言だ。
2人とも、真に受けない。
でも、そうなってもいいと思う。
そんなあやふやな、ぬるま湯の関係。
でも、この夜、珍しく薫がこんな風に言った。
「俺は別に誰でもいいけど、におは、ちゃんと相手を選んで見極めたほうがいいで。……今の彼氏とじゃ、にお、幸せになれへんと思うわ。」
……怒りも反発も感じなかった。
「うん。そうかもしれない。」
珍しくしおらしい私に、薫は驚いたようだ。
「何かあったん?」
そう聞かれて、私は薫の胸に頬ずりした。
「うまく言えない。言葉にすると、何か、違和感。……でも、違う気がする。」
やっと紡ぎ出した言葉に、自分で愕然とした。
何の不満もないつもりだった。
同じ会社の先輩で、社長達役員の覚えもめでたい秘書課主任。
舞台映えする柔和なイケメン、温和で上品なお人柄、おっとりした田舎のええとこのお坊ちゃま。
……条件のいい優良物件。
本当にそれだけなのかもしれない。
総務部の朝礼で顔を合わす度に何となく惹かれ合った。
忘年会で言葉を交わし、お互いにちょうど恋人がいない時期だったことがわかった。
……クリスマス、年越しを一緒に過ごして、付き合い始めて2年と2ヶ月。
そろそろ潮時なのかもしれない。
椎木尾さんと前向きに別れるのか、ちゃんと向き合って結婚するのか。
……てか。
別れるほうを「前向き」と捉えてる時点で、お察し、よね。
「におは、ワガママなようで、流されるやろ。だから割とどんな男とでもうまく付き合ってくんやろけど……全然幸せそうじゃないし、心配。もっとワガママになっていいんちゃうか?」
薫にそう言われて、私の瞳からほろりと涙がこぼれ落ちた。
「そんなこと言ってくれるの、薫だけやわ。……むしろワガママやと思う。椎木尾さんの趣味にも全く興味持てへんし。ほんまに好きやったら相手の趣味も理解して一緒に楽しもうと努力すべきじゃない?」
一昨日椎木尾さんに言われた言葉が脳裏から離れない。
私が歩み寄らない限り、いつまでも椎木尾さんの休日を独占することはできない。
それはそのまま2人の心の距離かもしれない……。