泥酔彼女
何か吹っ切れたのか開き直ったのか、月島は真顔だ。
こういう時の彼は手強い。
間近で見詰め下ろされる目ぢからの強さに負けて、私はつい視軸を横に逃がしてしまう。
彼の言い分は分かるが、愛の告白というのは、もっと甘い雰囲気で為されるものではなかろうか。
例えば、「好きだよ…」「私も…」そして二人は頬を染めて見詰め合う、みたいな鉄板な展開を夢に見たっていいじゃないか。
そもそも、改めて言えって言われると、かえって言葉が出てこない。
私は月島と違って心臓に毛が生えてる訳じゃないのだ。
「お前、何か失礼な事考えてるだろ」
「考えてマセン」
「片言か。図星だな」
「う」
「言え」
「ううう」
「言え」
「ううううう!!」
ううう星人に成り下がった私を、月島は絶対零度の眼差しで見下ろしている。