泥酔彼女
ここまで追い詰められてやっと、私が重たい唇を開こうとした時だ。
近かった彼の面差しが、ふっと離れた。月島が身を起こしたのだ。
「───分かった」
突き放すように冷たく言われて、私は泣きそうな表情になる。
どうして肝心な時に、一番伝えなくちゃいけない事が言えないんだろう。
彼の事が好きであればあるだけ、喉の奥で言葉が絡まって出てこない。
「待って! ちゃんと言う! 私、私は月島が、ぐえええええ!!」
今の私の声は、仲間を呼んだ訳ではない。
急に視界が反転したから漏れた悲鳴だ。
あーこの感覚、ちょう覚えがある。
不安定に浮き上がる足。彼の肩が腹に食い込むこの感じ。
中身が出るわ!
私はまた、彼の肩の上で担がれて米俵と化している。
何でだよ…!!