泥酔彼女


ここまで追い詰められてやっと、私が重たい唇を開こうとした時だ。

近かった彼の面差しが、ふっと離れた。月島が身を起こしたのだ。


「───分かった」


突き放すように冷たく言われて、私は泣きそうな表情になる。

どうして肝心な時に、一番伝えなくちゃいけない事が言えないんだろう。

彼の事が好きであればあるだけ、喉の奥で言葉が絡まって出てこない。


「待って! ちゃんと言う! 私、私は月島が、ぐえええええ!!」


今の私の声は、仲間を呼んだ訳ではない。

急に視界が反転したから漏れた悲鳴だ。

あーこの感覚、ちょう覚えがある。

不安定に浮き上がる足。彼の肩が腹に食い込むこの感じ。
中身が出るわ!

私はまた、彼の肩の上で担がれて米俵と化している。

何でだよ…!!




< 37 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop