泥酔彼女


ごろん、とシーツの上に転がされて、身体がスプリングに弾む。

咄嗟に仰向いて彼を見上げる私の傍で、月島はスーツの上着を脱ぎ捨てた。

ネクタイのノットに指を掛けて緩める仕草は、こんな緊急事態でも色気を感じて、悔しい事に一瞬見惚れてしまう。

だが、そんな事をしている場合ではなかった。

この状況で次に何が起こるのか分からないほど、私はウブではない。

確かに月島の事は好きだけど!
こういう事に及ぶには展開がいきなり過ぎるというか!

要するに不器用な私の心がついていかないのだ。


「待って待って、月島! 無理矢理言わせなくてもいいです! 今から滅茶苦茶鳴きます!」

「俺だって無理にこんな事はしたくないんだがな」

「でしょ!? こういう事はもっとムードを盛り上げてからがいいよね! 私今凄くお酒臭いし!」

「無理にこういう事はしたくないが、沢村が強情だから。俺に告白してくれないから。仕方ないな」

「だから言うっつってんだろが! 私は月島がす」

「うん、仕方ない」

「月島が、す、……、んん゛───ッッ」


私に覆い被さった月島が、私の言葉を唇ごと塞いでしまった。

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