泥酔彼女


酔って記憶を失くす、というのが私に残された最後の抵抗の手段だと思うけれど。

悔しい事に、私はこの夜の記憶を忘れたいとは思っていない。

どのみち身体にしっかりと焼き付けられた彼の感覚が、私にそれを許してくれないだろう。

肝心の事を言わせてもらえなくたって、私と彼の心は繋がっている。


私は月島が好きだ。


言わなくたってとっくに伝わっているはずのこの言葉は、彼の寝顔に囁こう。

そして朝の光の中で彼が目を覚ましたら、言うのは別の事だ。

もう米俵はいやだからね。

それを聞いた彼はしばらくの間、解せない、という顔をして考え込んでいたけれど。

やがて何かが腑に落ちたのか、ああ、と一言告げて。

蜂蜜が滴るような甘さで、私に笑い掛けてくれたのだった───






【end】

< 43 / 43 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:48

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

都会の片隅で

総文字数/4,960

恋愛(純愛)5ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
猫とホテルと男と女。 これだけ揃えば、 物語が生まれない訳ないじゃない? OZmall×Berry's Cafe プレミアムホテルSSコンテスト 参加作品 2016.11.29完結
聖夜の光

総文字数/4,813

恋愛(純愛)9ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
恋愛なんて縁がない。 そう思い込んでいた私にだって、 聖夜の星の光は等しく注ぐらしいです。 ××× OZmall×Berry's Cafe プレミアムホテルSSコンテスト 参加作品 2016.11.22完結
あなたにキスの花束を

総文字数/19,291

恋愛(純愛)63ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
私は昔から運が悪い。 アサリの味噌汁を飲めば砂入りを引く。 オムレツを食べれば卵の殻入りを引く。 ハンバーガーを頼めばピクルス入れ忘れを引く。 要するに、悉くハズレを引く運命にある。 一つ一つは小さな事だが、地味なダメージが蓄積してちくちくとメンタルが削られる。 ハズレの神様の寵愛なんて、要らないのに。 そんな星の下に生まれ付いた私に、合コン運なんて有るはずなかった。 合コンで出会った二人の一幕。 ♀橘美咲(たちばなみさき) お仕事大好き × ♂片桐司(かたぎりつかさ) 王子様オーラ全開 ───────────────────────── 短編です。ラブコメ寄り。 お暇つぶしになれば幸い。 2015.12.24開始 - 2016.1.22完結済み

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop