陽のあたる場所へ
「私、今、社長に夢中なんですよ。だって、素敵過ぎません?
前は総務に社長の事務所用デスクあったのに、そのままにして欲しかったなぁ。そしたら、いつも顔じっくり見れたのに」
「お前、それでしょっちゅう編集部に来るのか!俺はダシか」
そうだったのか。いやに社長と自分のことを気にするんだな…と思ったら、彼女が好きな相手だったとは…
こんなに若くて可愛い娘になんか、とても太刀打ちできない。
無論、闘う気もないが。
彼の隣に居ることが似合うのは、どう考えても自分じゃない。
嫌でも思い知らされてしまう。
「あは、バレちゃった」
そんな沙織の気持ちなど知る筈もなく、可愛く舌出して、首を竦めたりするもんだから、可愛い過ぎてツッコミもできない。
「じゃ、社長と海野先輩、何でもないんですね?」
「ないない。罵倒されることはあっても、優しくされたことなんかないもんね」
…〝 何でもない 〟という言葉は語弊がある。
久留宮さん、嘘ついてごめん!
きっと本当のこと知ったら、社長のことも私のことも幻滅するよね。
でも、気持ちの部分では、恋愛感情なんか皆無だから。
…それも、違うね…完全なる一方通行。
でも、私は久留宮さんみたいに、堂々とは言えないから…。
沙織は、そんな思いを飲み込んで、いずみに笑顔を作ってみせた。