陽のあたる場所へ
この若くて可愛い後輩に、何をどう気に入られたのか皆目見当もつかないが、携帯番号を交換する羽目になり、「またお食事やお酒、付き合って下さいね」とニッコリされて、つい頷いてしまったのが三日前。
こんなに早く、本当に電話がかかって来るとは思っていなかった。
作家と打合せがあり、終わってスマホを覗くと、着信履歴が何件も入っていた。
何事だろうと画面を見つめていたら、突然着信のバイブが鳴り、沙織は慌てた。
「沙織せんぱ~い!」
何かがあって、それを訴えたい感じの声だ。
「久留宮さん?」
「いずみです」
中高生辺りの頃、女子達が仲良しのしるし、とばかりに、下の名前で呼び合うのを押し付け合うことがよくあるが、それを先日強要されたことを思い出す。
「あ、うん…どうした?いずみちゃん」
「社長が付き合ってる相手、偶然にも私の同級生らしいんですよ。絶対嫌だ~!許せな~い」
深刻なのか、そうでないのか、よくわからない口振りで言われ、どう受け止めて良いかわからない。
けれど、大の大人が根拠のないことで大騒ぎする訳もなく、沙織の心はざわついた。