陽のあたる場所へ


「で?何なんだよ。俺はともかく、また海野先輩まで呼びつけて」

吉沢には、まだ何も話してないらしい。
それよりも、既にテーブルの上には空いたジョッキが置いてあり、いずみは完全に出来上がっている様子だ。
絵に描いたようなヤケ酒。
これは厄介になりそうだ…。

「社長の彼女が、私の同級生だったのよ!やだー!あの娘だけは」

「まあまあ…落ち着け。ゆっくり聞くから」

吉沢の顔を見るなり、いずみが今にも暴れ出しそうな勢いで立ち上がりかけたので、吉沢はその両腕を掴んで、座るように促した。

店の前で怒っていたわりには、優しい対応だな…。
いいなぁ…こういう男友達。


フッと亮の顔が頭を過る。
友人でいた頃の亮も、沙織が何かに腹を立てたり、悩んだりしていると、なだめて怒りや悲しみを和らげてくれたっけ…

そういう包容力のある優しさに居心地の良さを覚えて、惹かれて行ったのは否定できない。
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