陽のあたる場所へ
…そんなことはない…絶対にない…
…私のことなんか…
…私のことなんか…
彼は、全然見てなんかいない。
沙織は言葉に詰まってしまう。
「…沙織…やっぱ、お前、何かあっただろ」
「え?何かって?何もないよ」
「誤魔化すなよ、何年、沙織のこと見て来てると思ってんだよ。お前のへこんだ時の声くらいわかるよ」
歩きながら電話をしていた沙織がホームに着き、電車の轟音がだんだん近付いて来る。
「あ、ごめん、亮。電車来た。うるさくてよく聴こえないからもう切るね。本当に大丈夫だから。少し残業続きで疲れてだだけよ。心配しないで。ありがとう。じゃあね」
亮が電話の向こうで何かを言ったような気がしたが、電車の音に掻き消され、沙織にはよく聞き取れなかった。