陽のあたる場所へ
そうか…そういうことだったのか…。
だから本当の父だと思っていた人の写真が、一枚もなかったのか…。
普通だったら、俺が二歳までの短い間にだって、一緒に写った写真の一枚や二枚くらいある筈なんだ。
バカだな…俺。
「二人で強く生きて行かなきゃならないから、写真は全部処分した」
なんて、そんな母の言葉をすっかり真に受けていた。
父との思い出話とか、別れた理由とか、
良いことも、悪いことも、
母は、一切俺に話さなかった。
当時の俺は、そんな様々なことが、子ども心に少し不思議には感じたが、父親の分まで愛情を注いで、女手ひとつで俺を育ててくれた母に、それ以上詮索してはいけない気がしていた。
けれど…、そもそも、そんな父の存在など、始めからなかったんだ。
何でだよ…
実の子どもじゃないのに、我が子と偽って育てる優しい親だって居るってのに…。
全く逆かよ…
どうして、本当のお父さんだよと言って抱きしめてくれなかったんだよ…
俺が内縁の子だということを隠し、連れ子だと思わせてまで、世間体を取り繕いたかったのか…
そして、俺の存在が、兄の母を死に追い込んだという事実…。
その重い十字架を、二人して俺に背負わせた…。