陽のあたる場所へ
「もう…無理だよ。
絢音の心は、もう俺には向いてない。
ただし、お前を本気で好きなのかどうかも疑問だけどな…」
兄の言葉に、胸の中がざわめく。
兄にはああ言ったものの、二人が抱き合ったことに愛情という意味が存在していたと、俺は信じたかった。
例え、その気持ちを捩じ伏せて、手離さなければならないとしても…。
「その重役達の話には続きがあってな…
父は、お前に会社を継いで貰いたいらしいよ。
体が丈夫でない俺には、社長職は荷が重いから…
とか言ってたらしいが、どうだか…。
親父の目から見たら、経営者に向いてるかどうかなんてすぐわかるだろう。実際に俺が会社に入って仕事してるのを見て、使えないと思ったんじゃないか?」
「そんなこと…俺は…」
「そうだよ…お前は何も知らなかったことだ。だけど、お前の知らないところで、いろんな話が進んでる。
そして、そのことによって、様々な思惑が生まれる」
兄がこれ以上、どんなことを言うのかと考えたが、もう既にキャパオーバー状態の俺は、ただ兄の顔を見つめることしかできなかった。