陽のあたる場所へ
「親のこと…本当は、話すつもりなんかなかった。
俺自身も認めたくない事実だったし、お前とは普通に兄弟のままでいたかったから…」
兄の言葉に、俺の中から様々な感情がごちゃ混ぜになってドッと吹き出し、涙が一気に溢れて来た。
「兄さん…ごめん…俺…。本当にごめん…」
涙が零れて止まらない俺の肩にそっと手を置き、兄は部屋を出て行った。
暫くその場に立ち尽くしていた俺は、やがて背後で窓ガラスを叩く雨の音に気付いた。
暗闇の中で、雨が降っていた。
それは横殴りの雨で、気味が悪いほど風が啼いていた。
俺は、この日の初夏の嵐が、
現実だったのか、
この時の心理状態が生んだ幻想だったのか、
今でも思い出せないでいるんだ…。