陽のあたる場所へ
「どうぞ」
龍司がドアの外の吉沢に声をかけ、ドアが開く音がした。
沙織は、驚きと戸惑いが隠せないまま、ただ気配を消すことだけに努めようとした。
こんな場所に押し込まれている事を吉沢に気付かれたら、どんな憶測が生まれるかわからない。
吉沢の足音が、すぐ近くまで来た。
「すみません、少しお聞きしたい事があって‥。
さっき説明して頂いた箇所なんですが…」
頭上から吉沢の声が聞こえて来た。
「どこだ?」
「この部分なんですが、よく意味がわからなくて…」
「あぁ、ここは…」
龍司は平然と会話を続けていたが、やがて左手が下に伸びて来て、沙織の頭に触れた。
驚いて、思わず身体を強張らせながらも、とにかく動かないことだけに意識を集中させた。