陽のあたる場所へ


龍司の手は、そのまま頬から首筋をなぞり、場所を確認するかのように下りて行き、胸に辿り着いた。
沙織は、龍司の手首を掴んで押し戻そうとしたが、
その指先が、そっと、ゆっくり動き始めると、沙織の手からは力が抜けてしまう。

堪え切れずに漏れそうになる声を、自分の手で口を塞いで堪える。



時折、龍司の吐き出す煙草の煙が、机の下に流れて来て、目と鼻を刺激した。

それでも、頭上で普通に交わされている二人の会話を聞きながら、沙織はただ龍司の指先の戯れに身を任せてしまっていた。



「はい、わかりました。ありがとうございました」

用事が済んで、吉沢の足音が出口へ向かって行った。

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