陽のあたる場所へ
今日は一日長かったな…
柳川先生の家は、あの店からそう遠くはない筈だから、送り届けた吉沢も、もう帰途についてホッとしている頃だろう。
帰ったら、お疲れ様の一言でもLINEしてやらなきゃ…
そんなことを考えていたら、大きな溜息が出た。
「お客さん、次を左でいいですか?」
「あ、はい」
運転手に声をかけられ、沙織は自分の家が近付いて来たことを知る。
「今日は申し訳ありませんでした。送って頂いてありがとうございます」
「あぁ…」
沙織の家の前でタクシーが停まり、そう声をかけると、龍司は目を開け、答えた。
「あの…」
車から降り、沙織はもう一度、龍司に向き直る。
「お詫びにコーヒーでも如何ですか?あ、お酒なら、あまり良い物はないですから、お口に合わないかも知れないですけど」