陽のあたる場所へ
部屋に引き入れて、どうにかなろうという気は全くなかった。
わざわざ足を運んで貰ったのに無駄足になってしまったお詫びと、お礼と、半分以上は社交辞令みたいなもの…。
タクシーで遠回りをさせたのに、当然のような顔をして立ち去るのは、無礼なようで気がひけただけだ。
こういう場合に生じる、『男と女』だとか、『上司と部下』という厄介な懸念のようなものも、何の間違いか既に身体の関係があるので、逆に考える必要もない、と思った。
おかしな話だが…。
「いや、…いいよ。お疲れ」
少しだけ目に驚きの色が見えたものの、龍司は、あっさりとそう言い放ち、タクシーの運転手に行き先を告げると去って行った。