陽のあたる場所へ


「海野先輩も一緒にどうですか?」

斜め前の席から、二人の様子を何となく眺めて勝手に想像の世界に入っていた沙織は、急にいずみに声を掛けられて、驚く。

「えっ?私?」

「実は私、前から海野先輩とゆっくり話してみたかったんです。でも、一対一じゃ、どうしていいかわかんないんで、吉沢くんが居れば話し易いかなって」

「何だよ、俺の方がオマケかよ」

「久留宮さん、吉沢くん、露骨にガッカリしてるよ」

「違いますって!こいつとは、そんなんじゃ!」

「こっちの台詞~!私だって他に好きな人いるもん。吉沢くんだって知ってるもんね~?」

「そうなの?」

確かに、社内で評判の人気の高い彼女だ。
普通に素敵な彼氏がいると考えるのが当然か…。


「海野先輩、どうですか?今日は都合悪いですか?」

たまには若い後輩と話して、女子力を見直すのも悪くない。

「そうね、あと30分もあれば、どうしても片付けなきゃならない仕事は終わるから、それでも良ければ」

「やったぁ~!じゃ、吉沢くんもあと30分で片付けてね。」

「ちぇっ、俺の都合はお構い無しかよ」

「じゃ、ロビーで本でも読んで待ってま~す」

いずみは、顔の横で広げた手を小さく振ると、事務所を出て行った。

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