アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜
「もう〜っ。
 めんどくさい人ですねー」

 なんで私の周りはこんな人ばかりなんでしょう、と愚痴ると、
「周りって?」
と訊いてくるので、

「うちのお母さんとかですよ」
と投げやりに言ったあとで、

「じゃあ、今夜は、うちの母親とその愛人の困った話を」
と言うと、

「昨夜のベルマークとどっちがくだらない」
と言ってくる。

「まあ、似たり寄ったりですね」
 そう言いながら、並んで階段を下りた。

 遥人は信じないかもしれないが、昔、両親が離婚したあと、さすがの私も少しだけ不眠症になったので、あの辛さはわかる。

 だから、少しだけ協力してあげよう。

 そんな仏心がまずかったのだ、と随分あとになって思ったのだが。

 これこそ、あとの祭りという奴だった。



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